二級建築士 試験

令和2年二級建築士設計製図試験課題の総評

- 令和2年6月12日 -

本年度の課題: シェアハウスを併設した高齢者夫婦の住まい(木造2階建て)


要求図書については、1階平面図兼配置図[縮尺1/100]、2階平面図[縮尺1/100]、2階床伏図兼1階小屋伏図[縮尺1/100]、立面図[縮尺1/100]、矩計図[縮尺1/20]、面積表、計画の要点等、
(注)答案用紙には、1目盛が4.55ミリメートル(部分詳細図(断面)については10ミリメートル)の方眼が与えられている。
(注意事項)試験問題を十分に読んだうえで、「設計製図の試験」に臨むようにしてください。なお、設計与条件に対して解答内容が不十分な場合には、「設計条件・要求図書に対する重大な不適合」と判断されます。

●本年度試験課題の傾向

二級建築士設計製図試験は、平成24年に試験内容の見直しが公表されて以来、例えば、一部の室面積については、受験者自身が特記事項から考えて設定するなど、受験者自身の裁量の余地の大きい、設計者の能力としての提案力をも評価する、自由度の高い、高度な計画力を要するものとなってきておりましたが、本年度の課題はこの傾向が一段と濃厚なものとなりました。



●本年度試験課題における計画上の問題点
本年度試験課題「シェアハウスを併設した高齢者夫婦の住まい」において、「シェアハウス」、「高齢者夫婦の住まい」及び「併設」の3点が計画上注目されるキーポイントとなると考えられます。

以下に、それぞれについて要点を記すこととします。
・先ず「シェアハウス」は近年、生活スタイル、住まい方の多様化により、一定のプライバシーを確保しつつ、協同生活の良さをも求めるために生まれてきた住宅の形式で、高齢の夫婦、高齢の単身者、様々な職種に就いている単身者、同一の職種に就いている単身者等(何人かの単身者が共同で生活する場合が多い)が一定の個人のプライバシーを確保しつつ共同生活の楽しさを享受することを目的として計画された住宅で、このため、住宅の形式としては、居間、食事室を共用として、他は各々別とするものや厨房、食事室を共用として他は各々別とするものなど、様々のケースが考えられ、本来シェアハウスのみでも充分設計製図試験の課題になり得るものと考えられます。

・「高齢者夫婦の住まい」は、近年、高齢化社会の到来と共に様々な形で従来設計製図試験の課題として取り上げられてきたものですが、バリアフリーへの対応の他、例えば将来要介護となった場合の計画上の配慮等、課題条件によっては様々なパターンが考えられ、これも本来、「高齢者夫婦の住まい」のみでも設計製図試験の課題になり得るものと考えられます。

・また、「シェアハウスを併設した高齢者夫婦の住まい」の併設に注目する必要があります。すなわち、高齢者夫婦の住まいは、シェアハウスをどのような関係で併設しているか、例えば、高齢者夫婦の住まい自体もある程度の独立性を維持しながらも、シェアハウスの一員を形成しているのか、または、高齢者夫婦の住まいは明確にシェアハウスに対して独立した存在となっているのか等、様々な併設の在り方が考えられる訳ですが、いずれにしてもこの併設の在り方はこの課題の重要なポイントとなる可能性があります。

●その他の本課題における問題点
設計製図試験では、申すまでもなく、特に木造の課題における試験では時間内に正確に木造建築についての図面を書くことのできるしっかりした製図力を養っておくことが必要となりますが、本年の課題では、近年は要求図面として部分詳細図であったものが、久しぶりに矩形図として指定されているのが注目されます。

いずれにしても本年の課題では、先ずしっかりした製図力を養うことが合格のための必須条件であると共に、近年の課題の傾向の延長線上にあるとも言える高度な建築計画力が求められるものとなる可能性が高いと考えられます。


2020年度二級建築士講座一覧
ページのトップへ戻る