二級建築士 試験

令和4年二級建築士設計製図試験課題の講評

- 令和4年6月8日 -

本年度の課題: 保育所 木造




注意事項
試験問題を十分に読んだうえで、「設計製図の試験」に臨むようにしてください。なお、設計与条件に対して解答内容が不十分な場合には、「設計条件・要求図書に対する重大な不適合」と判断されます。

本年度試験課題の傾向
 本年度の二級建築士設計製図試験の課題は、予想されていた通りの木造で、「保育所(木造)」と発表されました。
 保育所の課題は近年の二級建築士設計製図試験での例はなく、初出題の課題ということとなりますが、一級建築士設計製図試験の課題としては過去に複合施設に一部に保育所を含むものとして何度も出題されており、近年のニーズの高まってきた社会状況を反映した課題ととらえることができます。

保育所の位置づけ
 保育所と近い関係の施設として幼稚園がありますが、幼稚園は文部科学省所管の教育施設で、保育所は厚生労働省所管の児童福祉施設であることから、両方に共通するところも多くありますが、以下のような明確な違いがあります。

 幼稚園は小学校入学前の幼児の教育訓練施設であるのに対して、保育所は保護者の委託を受けて乳児、幼児の保育をする施設であるため、保育所は幼稚園に比し、乳児から小学校入学前までの幼児を対象とするなど年齢の幅が長く、また、保育時間は幼稚園に比して1日8時間と長く、保育所は女性の社会進出を促進するための社会福祉施設としての性格も濃厚であるため、今日の社会的ニーズが極めて高い施設であると考えられます。

課題の特徴
 本年の課題の特徴として考えられることは、まず、要求図書として1階平面図兼配置図の他に各階平面図が示されていることから、2階建てとなる可能性が最も高いことが挙げられます。(3階建てとなる可能性も全く排除することはできず、そのための準備も必要であると考えられますが。)

 なお、2階建てとなった場合は、保育所の主体部分の保育室、遊戯室は園庭に面していることが原則であるため、あくまでも1階で、2階には保育所の管理部門としての事務室、所長室、応接室、休憩室等が置かれることになると考えられます。

 保育所は、元来、乳児・幼児を対象として保育をする施設であることから、安全第一を優先とすることが求められるため、保育所そのものは全体を1階に設けられることが当然とも考えられる訳ですが、近年の市街化の状況等から敷地が狭隘で、このため保育所を2階建てとして2階に管理部門を設ける場合も生じる訳です。
また、保育室や遊戯室を2階に設けることも、準耐火建築物または耐火建築物であって、避難上有効なバルコニー等を設けることにより可能となります。

 なお、保育所を2階建てとして、2階に管理部門を設ける場合は、1階の保育所の主体部門との様々な計画上の配慮が必要となるなど、課題としての難度もやや高くなりますが、試験として採点上のチェックポイントも増すことなどからも、やはり保育所が2階となる可能性は高いと考えられます。

 また、上記に併せて、敷地に公園が隣接する等の条件が加わることにより、更に建築計画上配慮しなければならない条件が増え、より高度な設計条件となることも考えられる訳ですが、以上は特に建築計画力の比重が高くなってきている近年の設計製図試験の傾向に沿うものであるとも考えられます。


その他の要求図面について
 その他の要求図面として、床伏図兼小屋伏図、立面図、矩形図、計画の要点の記述等が求められています。

 以上は例年の試験において求められているものと変わりなく、一定期間の適切な添削指導等によって初歩から始めて合格に必要な力を身に付けることはそれ程に難しくないとも考えられますが、他方、前述の保育所についての合格に必要な建築計画力を身に付けるためには、より適切な厳選された課題による添削指導等が必要になるものと考えられます。
 本会の講座では、日本建築学会賞受賞者を含む第1級のベテラン講師陣により作成された本年度の課題の本質を系統的に考えた厳選10課題添削の演習をもとに(基礎演習課題5題、実践演習課題4題、模擬演習課題1題)合格に必要な徹底した設計力(建築計画力)と製図力の養成を図ります。

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