一級建築士 試験

30年度 学科試験の講評

- 平成30年7月23日 -

●平成30年度一級学科試験の難易度は、計画においては、過去の出題範囲外からの新規の内容の設問を選択肢に含む問題が増え、全体的に難易度は高くなりました。

 環境・設備においては、過去の出題範囲内からのものが多く、過去問についての確実な理解力を有していれば、高得点を得ることのできる内容のもので、難易度は概ね昨年並か、やや易しい内容のものでした。

 法規については、建築基準法以外の関連法規では新規の分野からの設問の選択肢を含む問題が出題されていたのに対して、建築基準法の問題は、概ね過去の出題範囲内から出題されており、難易度は、総じて例年並みであったといえます。

 構造については、ほとんどの問題が過去の出題範囲内からの問題をベースとしたもので、過去問に対するしっかりした理解力を有していれば、解くことのできる内容の問題が多く、難易度は総じて例年並みであったといえます。

 施工については、近年の傾向のように、過去の出題範囲外からの詳細の事項についての設問を選択肢とする問題が本年も多く出題され、総じて難易度は例年よりやや高かったといえます。
以上のように計画、施工の難易度は比較的高く、環境・設備、法規、構造は概ね例年並みか、やや優しい内容のもので、総合的な難易度としては概ね例年並みであったといえます。


1 学科Ⅰ計画
 計画の問題については、記憶による内容のものがほとんどであるため、今まで出題されたことのない新規の  問題が多くなっている近年は、難易度が上がる傾向にありますが、本年の問題も過去の出題範囲外からの新規の設問の選択肢を含むものものが多く、難易度は比較的高かったといえます。

 但し、4つの選択肢の全てが新規の設問による問題は少なく、多くの問題は、新規の設問と過去に出題された設問が混在しているものであるため、過去の出題範囲内の事項についてのしっかりした理解力を有しているか否かも、正解に至る重要なポイントとなることに留意しておく必要があります。

 本年の問題では、「日本建築史」、「住宅の実例」、「都市再生の実例」、「展示場の実例」で新規の事項の選択肢が含まれているのが注目されました。また本年の問題の特徴として、近年の社会的状況を反映した問題であるバリアフリーや避難に係わる問題が新規の設問を含む内容のものであったことも注目されます。


2 学科Ⅱ環境・設備
 問題の構成は、環境工学10問、建築設備10問が出題されました。空気調和設備や発電設備に関する問題でやや難度の高い新規の内容の選択肢を含む問題が出題され、建築設備では、特に省エネルギーに係わる問題が新傾向の問題として出題されているのが注目されましたが、総じて、環境・設備については、過去の出題範囲内からの問題が多かったといえます。

 但し環境・設備については、単なる記憶によるだけではなく、確実な理解力を有する事項が多く、過去の出題範囲内からの問題でも、より深い理解力を要するものが多くなっていることにも留意しておく必要があります。


3 学科Ⅲ法規
 問題構成は、建築基準法が20問、関係法令が10問で例年通りでしたが、建築士法を重視する近年の傾向を反映し、本年も融合問題を含め5問出題されていたのが注目されました。

 また、関係法令の新規の内容の問題として、土砂災害特別警戒区域に関する設問、低炭素法に関する設問、建築物省エネ法に関する設問を選択肢とする問題が出題されたことも注目されました。

 但し建築基準法関係の問題としては、過去の出題範囲内からのオーソドックスな内容のものが多く、確実な知識を有していれば解ける内容のものであったといえます。


4 学科Ⅳ構造
 問題構成は、構造力学6問、各種構造設計21問、建築材料3問でしたが、総じて、力学、基礎RC造、S造等過去の出題範囲からのオーソドックスな問題が多く、過去の出題範囲内の事項について確実な理解力が養成されていれば解ける内容の問題であったといえます。

 但し構造については、特に単なる記憶でなく、徹底した理解力を要求され、過去の出題範囲からの問題であっても、より深い理解力や、応用力を要する問題が出題される可能性もあることに留意する必要があります。


5 学科Ⅴ施工
 問題構成は、施工計画・工事管理で4問、各部工事で20問、請負契約で1問でした。施工についての問題は、施工の分野としての範囲が広く、詳細な事項についての記憶に係わる内容の問題が多い等、この点では計画とやや類似点があるともいえる訳ですが、近年は過去の出題範囲外からの詳細な事項についての出題が増えてきている傾向にあり、本年の問題も以上のような傾向を踏襲する内容のものとなっています。

 特に山留め工事、地業工事、コンクリート工事、鉄骨工事、左官工事等に関する問題は、過去の出題範囲外からの新規の事項の係わる設問を選択肢に含むやや難易度の高い内容のものであったといえます。また、監理業務に関する内容の選択肢を含む問題が2題出題されたことも注目され、以上の問題については、建築士法と関連のある問題としても注目されます。
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