合格への鍵 ~重要必須事項について、近年の問題を通して解説~

(本欄は、当会の建築士講座講師が適宜分担して担当し、当会建築士講座監修者(元国土交通省室長)が総合監修します。)

第20回 2019年5月24日 ―環境総合評価指標CASBEEに関する問題―


近年、環境問題が重視されるようになってきている中にあって、国土交通省が主体となって開発された環境性能評価指標であるCASBEEに係わる試験問題の出題頻度も高くなってきています。
CASBEEとは、「建築環境総合評価システム」のことで、建築物を環境性能で評価し、格付けする手法であって、省エネルギーや省資源、リサイクル性能といった環境負荷削減の側面はもとより、室内の快適性や景観への配慮等の環境品質・性能の向上といった側面も含めた建築物の環境性能を総合的に評価するシステムです。

【問題1】環境・設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  1. CASBEEは、「建築物のライフサイクルを通じた評価」、「建築物の環境品質と環境負荷の両側面からの評価」及び「建築物の環境性能効率BEEでの評価」という三つの理念に基づいて開発されたものである。
  2. 消防法において、「消防用設備等」は、「消防の用に供する設備(消火設備、警報設備及び避難設備)」、「消防用水」及び「消火活動上必要な施設」に分類されており、排煙設備は「消火活動上必要な施設」に該当する。
  3. 建築分野におけるLCA(ライフ・サイクル・アセスメント)は、建設から解体までの建築物の生涯を通じての環境負荷や環境影響等を評価するものである。
  4. 近年の日本全体の建築関連のCO2 排出量において、「建築物の建設にかかわるもの」と「運用時のエネルギーにかかわるもの」との排出割合は、ほぼ同じである。
上記の問題は、平成26年一級建築士の試験問題で、設問1は、CASBEEの基本理念について記したものですが、建築物のライフサイクルを通じて、建築物の環境品質と環境負荷の低減性を数値化し、これらの数値から建築物の環境性能効率BEEを求め、その値によってS、A、B+、B-、Cの5ランクで表示し評価するもので、正です。
 なお、設問中のBEEについては、問題3でも取り上げられています。
 また、設問4は、LCCO2(ライフサイクルCO2:建築物が建設時から運用期間を経て解体までの間に排出するCO2の総量)に係わる問題ですが、建築関連のCO2排出割合は、建設時の建築材料と施工にかかわるものが約25%、運用時のエネルギーにかかわるものが約67%、修繕が約5%、解体が約3%であるため、誤りです。


【問題2】環境・設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  1. CASBEEにおいて、建築物の設備システムの高効率化評価指標として用いられるERRは、「評価建物の省エネルギー量の合計」を「評価建物の基準となる一次エネルギー消費量」で除した値である。
  2. 35年寿命を想定した一般的な事務所ビルのライフサイクルCO2 においては、「運用段階のエネルギー・水消費によるCO2出量の占める割合」より、「設計・建設段階及び廃棄段階によるCO2排出量の占める割合」のほうが大きい。
  3. 地域冷暖房システムの活用は、ヒートアイランド現象の緩和に有効である。
  4. 日本におけるZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)とは、建築物における一次エネルギー消費量を、建築物・設備の省エネ性能の向上、エネルギーの面的利用、オンサイトでの再生可能エネルギーの活用等により削減し、年間での一次エネルギー消費量が正味(ネット)でゼロ又は概ねゼロとなる建築物である。

上記の問題は、平成25年一級建築士の試験問題ですが、設問1は、CASBEEにおけるERRについての記述ですが、CASBEEにおいて用いられるERRは、設備システムにおける一次エネルギー消費量の低減率を表す指標であり、正です。 また、設問2は、問題1でも取り上げられている設問と同じ内容のLCCO2に係わるもので、誤りです。

【問題3】省エネルギー等に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  1. 雨水利用システムにおける雨水の集水場所は、一般に、屋根や屋上である。
  2. 空気調和設備において、空調用冷水ポンプの台数制御による変水量方式を採用すると、搬送動力を低減することができる。
  3. CASBEE(建築環境総合性能評価システム)により算出されるBEE(建築物の環境効率)の数値が小さくなるような環境対策を行うと、建築物の環境性能が高まる。
  4. 窓システムにおいて、日射による窓部からの熱負荷低減を図るには、一般に、エアバリアよりダブルスキンのほうが効果が高い。
  5. 電気設備において、配電電圧が高いほうが、配電経路における電力損失が少ない。

上記の問題は、平成24年の二級建築士試験の問題ですが、設問3の記述は、CASBEEにおけるBEEに係わる問題1でも記されているもので、数値が大きくなるほどに環境性能は高くなるため、誤りです。
以上は、一、二級建築士試験のCASBEEに関する問題例ですが、問題例からも判断されるように、近年のCASBEEに係わる問題の出題頻度は極めて高く、この傾向は環境問題への社会の関心が高まる中にあって、益々高くなってくるものと考えられます。
このため、環境総合評価システムとしてのCASBEEの内容について、様々な角度から、深く理解しておくことが必要である。


※過去の出展(過去10回分を表示)
第19回 2019年 4月 6日 パッシブデザインによる省エネルギー計画
第18回 2019年 3月 8日 定番となったバリアフリーのための建築各部の寸法等の問題
第17回 2019年 1月 25日 定番となりつつある高齢者福祉施設に関する問題
第16回 2019年 1月 7日 耐震改修に関する施工の問題
第15回 2018年11月 15日 新傾向問題としての改修工事
第14回 2018年10月 1日 リノベーションからコンバージョンへ
第13回 2018年 8月 11日 ストックの時代に対応するリノベーションに関する問題―
第12回 2018年 6月 28日 建築協定における一人協定とは何か?
第11回 2018年 5月 31日 建築基準法における一石三鳥の誘導的基準
第10回 2018年 4月 12日 建築基準法第27条の歴史的な改正

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