1級建築施工管理技士
令和7年度1級建築施工管理技術検定・第一次検定 総評
■令和7年7月20日(日)に、1級建築施工管理技術検定の第一次検定が実施されました。
・総出題数は72問、 総解答数は60問で、昨年と同様でした。
・各分野ごとの出題数と選択解答数も昨年と同様でした。
●午前の部
出題範囲は広範囲に及び、必須問題の中に環境工学の計算問題1問と、構造力学の図表問題1問が含まれており、環境工学と構造力学等の学習が必要であることが、昨年に引き続き、明確となりました。午前の部に関しては、従来よりも「やや難しい」出題であったといえましょう。
午前の部の出題のうち、難易度の高かったものを挙げてみます。
- ・№2 :「水平面照度」を求める計算問題でした。問題文の意味を正確に把握し、三角比の
知識を活用して解く問題ですが、初出題であったため取り組みにくかったと思われます。
- ・№11 :「山形ラーメン」の反力を求める問題でしたが、解法の手順が判りにくかったのではないかと思います。
- ・№12 :「座屈荷重」を求める問題で、2級建築士「構造」科目においては頻出の問題です。 公式と解法手順を理解していないと答を導き出せませんが、今回はさらに、弱軸・強軸の概念の正確な理解が求められました。
- ・№15 :「シーリング材料」に関する詳細な知識が必要な問題でした。
- ・№28 :「高力ボルト接合」に関する細かい数値についての問題でした。正確な数値の暗記が求められました。
- ・№41 : 「仮設計画」に関する出題で、四肢の内、三つが新出の肢でした。正答肢を定めにくかったと思います。
環境工学分野については、表面的な知識のみではなく、様々な現象をいかに正しく理解しているかが問われました。躯体分野・仕上分野については、各工種における基準数値の正確な暗記が、従来よりも増して求められました。理解することと知識を暗記することを並行して学習することが必要となります。
● 午後の部、
「応用能力問題」については、全10問の内、60%である6問の正答をしていないと足切り不合格となります。難問が含まれていましたので、標準的な問題は必ず得点する必要があり、そのための基礎知識を疎かにできないことが明確となりました。
又、「法規」の問題は新問が多く、詳細な知識が求められました。午後の部に関しては、「難しい」出題であったといえましょう。
・№53、59: 各工種の細かい数値を把握していることが、特に必要となる問題でした。
・№57 : 験実施機関からは「肢3」が正答(誤っているもの)として発表されていますが、「肢4」も、過去の出題において同じ内容で出題されましたが、当時は正答(誤っているもの)とされていました。合否発表時に、試験実施機関からの何らかのコメントが発表されるかもしれません。
・№64 : 建設業法」に関し、過去に出題されたことのない論点からの出題でした。
・№68 : 安全衛生管理体制」に関する出題でしたが、紛らわしい専門用語の意味を、正確に把握しておく必要がありました。
● 来年度に向けて
過去問を中心に、繰り返し問われている知識、基本的な知識を網羅したうえで、応用知識として、各種 工事を進める為に必要となる基準値や数量等を把握する必要があります。難易度が上がったとはいえ、取りこぼしてはならない基本的な知識を確実に習得していれば、その知識を応用して正答肢を選択することもでき、改めて基礎知識の重要さが明らかになったといえましょう。平易な問題での取りこぼしが無い様に、知識を整理することが重要となります。更に、建設業界の日常の動向にも注意を払い、特筆すべき変更点や法改正等、新しい論点についての基本的な知識を蓄えていくことが効果的と思われます。