1級建築施工管理技士

令和7年度 1級建築施工管理技士 第二次検定 総評


令和7年10月19日、 1級建築施工管理技士技術検定 第二次検定が実施されました。
下記に「各問ごとの講評」と「総評」を記載致します。

1 問題1  経験記述
 昨年度の二次検定試験より出題形式が変わり、「工事概要」は予め問題用紙に提示され、それに基づいて設問に答える形式となりました。新形式2回目となる今回は、「工事概要」として、鉄骨事務所ビル新築現場の概要が提示されました。昨年は鉄筋コンクリート造の現場概要が提示されましたので、RC造とS造が隔年ごとに提示されるのではないかという、一つの予想がついたのではないかと考えられます。(大規模木造現場の概要が提示される可能性は少ないのではないかと考えられます。)
 鉄骨工事の概要が与えられたため、記述する際の工種がある程度絞られてしまい、書きづらい部分が有ったかもしれません。今後は、昨年度分を含めた2年分の工事概要の各工種について施工方法の概略を把握し、ご自身の経験(記述しようとしている内容)と結び付けて記述することができるか否かの検討をしておくと、解答時の戸惑いが少なくなるのではないかと思われます。  小問1、2ともに、過去にも出題されたことのあるオーソドックスな設問のため、回答文の構成はしやすかったと思われますので、工事概要中に示された工種と、記述しようとする内容を、如何にリンクさせて記述するかの応用力も必要となります。ご自身が携わっている工種のみならず、日常の業務等を通じ、他の工種についての概略等を把握しておくことも、効果的な対策となりましょう。

2 問題2  仮設物の設置について
 3問中1問が初出題でした。

・仮設ゴンドラ  → R3 
・起伏式(ジブ)タワークレーン → H29
・枠組み足場を用いた棚足場 → 初出題でしたが、当会演習問題集「外部足場」の記述内容を応用すれば、乗り切れたかと思います。

3 問題3 工程管理
 例年通りに、ネットワーク工程表の出題でしたが、難問であったと思います。与えられたネットワーク工程表を読み取らなければならないのは勿論ですが、提示された「施工条件」のいくつかを、ネットワーク工程表の各作業日数に反映できたか否かがポイントとなります。問題文に示された条件をどのように使いこなしていくか、応用力が試されました。過去問題を実施するのは勿論ですが、ご自身が携わった現場の工程をネットワークで書いてみて、実際に工程進捗を妨げる要因があったならば、それをネットワーク工程表に反映させてみる練習をすると良いでしょう。経験記述に次ぐ、第二次検定の難所となり、ここで得点できるか否かも、合否に大きく影響するものと思われます。

4 問題4 躯体施工
 4問中1問が初出題でした。

・アースドリル工法のスライム処理、安定液 → H27
・コールドジョイントの発生防止  → 当会模擬試験、 H29
・吹付ロックウールの施工  → H29
・転倒工法による解体   → 初出題

 初出題の設問は、建築物のLCCO2(ライフサイクル二酸化炭素)の削減が叫ばれている現状が反映された出題といえましょう。LCCO2削減のために、解体工事を進める際の工夫や、対策等に関する知識も積み上げる必要があると思われます。

5 問題5 仕上げ施工(五肢択一)
 各設問中に3つの空欄が設けられ、空欄に当てはまる語句の組み合わせが正しいものを選択する問題でした。3つの空欄のうち、2つ前は過去問で対応できても、残り1つ初出題となるパタ-ンが散見されました。過去問学習は勿論、更に一歩踏み込んだ学習が必要といえます。来年度は躯体施工がこの形式の問題になると思われますが、過去問の知識+アルファの知識を増やすことが対策となりましょう。
「1.アスファルト防水」と「7.研磨試ずり」につきましては、当会の「演習問題集」が参考になったかと思います。

6 問題6 法規(五肢択一)
 3問中2問が初出題でした。
「近年の技術者不足の現状と、その解決方法、現場で働く技術者の皆さんの安全確保」
上記のような建設業界の今日的な背景に基づいた条文の出題であったように思えます。
法規の対策として、過去問の学習は勿論ですが、過去問条文の前後の条文にも着目し、現場で働く技術者の安 全確保に関連する条文があれば、そこも目を通しておくことが有効となりましょう。

7 総評
 今回の試験の各問題の難易度は下記のとおりです。
・問題1           → やや難
・問題2           → 標準
・問題3           → やや難
・問題4           → やや難
・問題5           → やや難
・問題6           → やや難

初出題の問題が散見されていたため、総じて「やや難しかった」といえます。
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